浪費トレイン

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出張。移動中に雑誌を読む。医学雑誌である。お勉強をする。家だと寝てしまう。職場ではほかにやることがある。勉強するには移動中が一番いい。有効活用だ。出張が減ると勉強も減る。ひとつところに留まっていては視野が狭くなるとはこのことだったのだな。

読む。この若い著者は、自分を頭いいと思ってる。それがわかる。実際、すばらしい内容である。ただ文章がへただ。必要なことしか書いてないし、必要なことを読者に届けるためのオマケが足りない。だから読みづらい。でも本人はすごくいいものを書いたと思ってるんだろうな。

読む。この著者は隙あらばおもしろいことを書こうとしている。なんとなくわかる。マイルドに滑っている。しかしその滑りのためにかえって、ここぞというときの図版の迫力が増している。結果としてよくわかる読み物になっている。

読む。この大御所はどれが自分の業績でどれが他人の業績か区別がつかなくなってきている。ちょっとぼけてきている(脳が、ではなくピントが)。しかしそのせいか、文章全体から、めちゃくちゃな強キャラ感がにじむ。迫力がある。

読む。知らないことが書いてある。知らないことだ! たいへんだ! これは知っておいたほうがいいぞ! あっぶね!

読む。書評を読んでおもしろそうだなと思ってネットで注文する。移動しているだけなのに金が減っていってることが少しおもしろいなと思う。

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