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薬屋さんがやってくる

14|8 製薬企業の営業さん、あるいはMRと呼ばれる人たちは、薬を処方する臨床医のもとにべったりと張り付いている。ただし、薬を使ってくれ使ってくれと連呼しても、効果はない。現代の医者はエビデンス至上主義で、情に訴えかけてもたいして効果はない...
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まちがいの指摘

22|17 他人の診断の下書きをチェック。何例もの診断のひとつに潜んだうっかりミスに気づく。該当症例のプレパラートを逆さまにして、本人に直接指摘する。だいたいこんな感じで。 「今日は……もう、ほぼ、全部同意見です。ありがとうございました。ほ...
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不明、と記したレポートを出した

12|18 臨床的に原因不明。なんとかしてくれ。助けてくれ。そういう依頼があった。考えた。悩んだ。八方手を尽くした。案件を私だけのところにとどめておかず、たくさんの人の力を借りながら、なんとかこじあけられる扉がないものかと、探しに探して1か...
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中井久夫『私の日本語雑記』

11|12 まだ読み途中。ゆっくり読んでいる。二日にいっぺんくらい、夜に。とてもおもしろい。冒頭、ちょっともう忘れかけているけれど(てきとうな読書だ)、間投詞の功績みたいな話からはじまる。あのーとか、えーととか。私達は思った以上にしゃべって...
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推しで通すには無理がある

4|4 根が軽薄なのでいろんな学会にちょろちょろ顔を出している。大腸、胃、肝臓、膵臓、胆道。消化器がん、血液がん、炎症性腸疾患。CT、MRI、内視鏡、超音波。そして病理。きりがなくなってきた。八方美人の拾い食いという腹痛必至の若気の至りであ...
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そこまで劇的に役に立つわけではない

6|4 毎週木曜日の朝7時半から8時半まではオンラインで勉強会をやっている。首都圏、関西、九州までの内視鏡医が集まって、朝から食道・胃・十二指腸・大腸の症例を、1日3例のペースで提示してみんなで写真を「読む」。腫瘍なのか非腫瘍なのか。腫瘍だ...
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泣くな研修医

14|19 うちの病院の研修医たちは私に対して特段なんのオーラも覇気も感じていないと見えて、しょっちゅう電話してくる。 こないだなどは、「これから勉強しに行っていいですか!」などと言う。真っ昼間に。 「お、おう、来たまえ、北前船、」の最後の...
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そっちのほうの人間としてやっている

1|2 少なくとも20代、30代の私は私のことを、「頭がよいことで仕事をしているタイプの人間」と思ってやっていた。なぜかというと、それは私を客観視した場合に、「手先が器用でお金を稼げている」ということはまったくないし、「アイディアがあふれる...
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ハブ名人

12|16 浅く広く人と付き合っているためだろう、どんな人に対しても基本的に敬称をはぶいて話しかけることはないし、心が通い合ったなと思うほど一緒に飲み食いしたこともないが、とはいえ、けっこうな量の人びととの間に、うすーいコネクションみたいな...
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そこにはやさしさが足りなかった

24|22 ずいぶん前のことになるが、ある学会のセッションで、「インターネットは教育によくないので子どもにはやらせていない」という医者が、持論を展開した。そのセッションは、学会の広報や教育にかんするもので、「Zoomというオンラインツールを...