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Please Please Me

5|8 病理組織像、たぶん、この病気だろうなという目星はついている。経過はまあ合う。発生部位も問題ない。ただ、年齢がおかしい。ふつうこの年齢には出ない。 だから確定診断を出しづらい。 そういうことは月に何度かある。「病理組織像は典型的だが、...
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立場と仕事

8|18 放射線技師さんがデスクにやってきて、昨年学会報告した特殊ながんの症例を、とある雑誌にケースレポートとして投稿する相談をする。皮膚科医がデスクにやってきて、昨晩撮っておいた学会発表用の病理写真を渡す。初期研修医がデスクにやってきて、...
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敬語をほどく医者

4|6 勉強会に出る。今日の座長はあまりいい感じではない。言葉遣いがあやしい。「敬語をベースとしてときどきフランクに呼びかける」という口調、おそらくはよかれと思って用いているのだろうが、はっきり言って、「敬語を維持し続ける脳の筋肉がよわすぎ...
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かもしれないだろう運転

15|27 学会で発表する予定のスライドを作りながら電話での問い合わせに応じて外注検査の伝票を書き、生検の標本に必要となる追加の染色をオーダーしつつ今度の交見会(地方会)の事務作業をすすめる。マウスの電池の残量が不安定になっていて、ときどき...
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おいでよ臓物の森

13|18 あまり真剣に学生や研修医を勧誘したことがない。学会の会場はもちろんだが懇親会でいっしょになるようなある程度距離の近い若者たちにも、「病理においでよ」と声をかけることはほとんどない。どこにいたって私たちはけっきょく病院の中やら外や...
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かわいそうになあ

27|2 今日はがんばかりであった。浸潤範囲が予想よりやや広いもの、組織型が典型例より悪いもの、リンパ管侵襲が多いもの、やけにそういう症例ばかりが目につく日だった。 何年も前のこと。生検のチェックをボスにしてもらったあと、「目合わせ」をする...
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私、聞きです! こっちは黒ネコの時事

7|10 出張先でいくつか勉強をした。自分がしゃべらず人の話を聞く機会である。 一般演題、ワークショップ、シンポジウム、パネルディスカッション。教育講演、基調講演、宿題報告。ケースシリーズ、コホート、RCT、メタ解析。空間トランスクリプトー...
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このへんな生き物は、凝視しているのです。たぶん。

4|13 「ぱっと見て違う診断」を読み、訂正をかける。ほかの病理医が診断したものを「確定」して電子カルテに送信する前に、チェックする役割で私が見ているのだが、これはもう明らかに違うなとわかってすぐに直す。直すのは簡単だ。バックスペースでバゴ...
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平日の読書

16|13 大きなくくりでいうと「医学書」であるものを3冊読む。ひとつはいわゆる増刊号だが途中で読み流しに入った。こういう本で自分の中に知識を積み上げてきた時代がたしかにあったが、今の私は、さすがにこのレベルの内容は卒業すべきなのだろう。た...
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おだいじにしてください

9|3 午前中いっぱいかかってかなり重い診断をマッピング付きでゆっくりゆっくりすすめる。3時間かけて「1」だ。そういう日もある。午後は受講が義務付けられているファイルを確認したり郵便物を仕分けて返事を書いたり、研修医の抄録に手入れをしたりほ...