28|13
かなり仕事が忙しく、それとは別に、全身のあちこちが細かく痛くなっている。腸の動きはよくないし、腰の一部がはずれそうで不安。先日、右目の白目から出血したのは治ってきたが、今日は左目のまぶたの裏が痛い。「かなり仕事が忙しく、それとは別に」と書いたが、普通に考えて仕事が忙しいために、ふだんはホルモンとか脳内麻薬などでごまかしている体のあちこちの小さな不具合が、うまくマスクできなくなって、自覚の閾値を超えることで同時多発的に痛くなっているのだろうなあと思う。それでなくてもいい年だ。来年48になる。48というと干支4週分だ。だから何? 言い直したところで「それっぽい文章」にはなるけれど内容自体はさほど増えていない。しかしまあそういう「内容は増えないままにそれっぽくする技術」ばかりうまくなるものだな。
各方面との付き合いが少しずつ深くなっていく。むかしは誰に会っても「またいつかどこかで一緒にお仕事をできたらいいですね(社交辞令)」みたいな挨拶でその場を去ったものだったが、近頃は半分くらいのケースで「やあ、またお会いしましたね(悪手)」みたいなことになっている。今の悪手というのは握手の誤字なんだけど、これ、直さなくてもいいんじゃないかと思ってそのままにしておく。
猛烈な量のがん患者、あるいは、がんではないけれど病気の患者の病理診断をしている。とても忙しいさなかに。たくさんの患者を見る中で。ワンオブゼムとしてのがん患者。油断するとそういう気持ちになる。年間5000人くらいのがん患者の診断を新たにしていることになっている。そのほとんどを思い出せないままに。私は、だから、そういう自分の仕事のスタイルに対して、深く反省をすべきであるし、きちんと自重をすべきなのだろうなあということを、こと、自分の身体が傷んだタイミングでかなりわかりやすく考える。体のあちこちの不調をすべて病院で見てもらったとして、私もまた、医療従事者たちが私を見るときの「ワンオブゼム的目線」に傷つくことは間違いがない。そうせざるを得ないし、それでなければ仕事は終わらないのだが、そうしてしまうことに、罪の意識を感じなくなったら、なんの48歳か、なんの干支4周なのかと。