イエッセイ

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医療にかんするエッセイの多くは限られたジャンルに属する。「患者側の経験談」「医者側の経験談」「患者でも医者でもない非医療者の経験談」「患者でも医者でもない医療者の経験談」。そりゃどれかには当てはまるだろ、と自分で書いていても思うわけだが、よく考えると、そんなことはないはずなのだ。狂言回しとして病気や免疫を前面に出してもいいだろう。医療のまわりに浮き沈みする言葉についての話がもっとあってもいいだろう。しかしそういう本はほぼ見ない。理由ははっきりしている。医療における、「患者と医者の主人公っぷり」が強すぎるからだ。そこをわざわざ脇に寄せなくてもええやんけ、という気持ちになるのである。しかたない。今あるものは十分読める、読ませる。でも、なんか、つまんねぇことだなと思った。本当はもっと幅広いんじゃねえかな。

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