立場と仕事

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放射線技師さんがデスクにやってきて、昨年学会報告した特殊ながんの症例を、とある雑誌にケースレポートとして投稿する相談をする。皮膚科医がデスクにやってきて、昨晩撮っておいた学会発表用の病理写真を渡す。初期研修医がデスクにやってきて、今度の病理学会地方会で発表するスライドのチェックをする。あいまあいまに技師が標本をもってくる。あいまあいまに技師長が郵便物を持ってくる。

技師長……。

電話。医療安全部門から。過去の病理診断の報告書をコピーして渡す。電話。外注の依頼。3種類の外注検査をどのパラフィンブロックで提出すべきか考える。電話。アポイントメント。今日はこのあと編集委員会と研究会があるから明日のほうがいいかもしれませんと答える。電話。人事。報告のみ。電話。来週に提出される生検体の話。電話。解剖の予約。あいまあいまに専攻医と病理診断のチェックをする。あいまあいまに技師長が郵便物を持ってくる。

技師長……タスクシフトしてください……。

研究会をWeb視聴。今日のはとりわけつまらない。しゃべりたい人だけがしゃべっているのがよくない。ぎりぎりと胃を締め付けられるような圧に耐えながら使命感と克己心とで症例にぶつかる中堅がぜんぜん出てこないのがよくない。人に愚痴って溜飲を少しだけ下げて、それがまた、自己嫌悪の原因となる。要は私が偉くなって、つまらなくなった研究会を立て直すほうに回ればいいだけの話なのだ。

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