休み明けの自分をいたわる技術

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仕事を抱えたまま夜も更け、残りは明日の自分がやってくれるはずだ、などと甘い夢を見ながら前後不覚に眠り込む。翌朝、青ざめて、「昨日の俺! なんてことをしてくれたんだッ!」と叫んで立ちすくむ。

……みたいな話をよく聞く。

「続きは連休明けの俺がやってくれるだろう」

「続きは来月の俺がなんとかするだろう」

これらは一般的に死亡フラグだ。

そこで私は、「休み明けの自分をもてなすつもりで」働くことを心がけている。

休みの前には界王拳。全力で働くどころではない。「全力2倍!」「全力3倍だ!」「全力4倍だぁーっ!」と働く。休み明けの自分が「うわぁ、助かるなあ、過去の俺……」と、感謝で涙を流しているところを想像しながら体中の気を爆発させる。

例を上げよう。

不幸が重なり、「2週間後までに5000字の原稿を書く仕事」が降って湧いたとする。この場合、スケジュール感でいうと、1週間でネタを固めて3日で書けば4日ほど余裕がうまれる。ただし、これは、出張などほかの予定をまったく斟酌しない場合の数字だ。実際には計算ほどシンプルにはいかない。

たとえば、依頼が来たのが水曜日だとする(締切は2週間後の火曜日)。水・木・金の3日が過ぎると、土日は出張で職場を明けなければいけない。その間は原稿も進まない。ちゃんと計算に入れておかないといけない。2週間後の締め切りというのは、出張やカンファレンス、会議などを踏まえると、事実上は3日くらいしか執筆時間は取れないのである。

そんな中で、「あとは来週の俺ががんばるだろう」なんてことを言い出しても、うまくいくわけがない。だったらどうするか。

界王拳だ。

金曜日のうちに、原稿のための資料集めを終わらせ、5000字を書くにあたっての最初の1000字くらいを書き終えておく。

ほんとうはそこまで急いでやる必要はない。でも、月曜日の自分を守るためだ。金曜日のうちに、「本当ならば月曜日以降にやればいい仕事」のおよそ半分くらいを終わらせておく。

月曜日、出勤して、PCを開いて、書きかけの原稿を見る。

「えっこんなにがんばってくれたのか、先週の俺。なら今週は普通に働いていればなんとかなるなあ」。

これはとても、メンタルにいい。効く。元気になる。おすすめである。このようにして私はものすごくたくさんの臓器を壊して満身創痍となり休養を宣言した。

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