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出張先でいくつか勉強をした。自分がしゃべらず人の話を聞く機会である。
一般演題、ワークショップ、シンポジウム、パネルディスカッション。教育講演、基調講演、宿題報告。ケースシリーズ、コホート、RCT、メタ解析。空間トランスクリプトーム、マルチオミックス、AI。
はぁーめんどくせぇーもっとアナログにエモい話聞きてぇー。でも勉強しないとこの場にいる資格がなくなるぅー。奮い立たせる。モチベを上げていく。能動的に。
学会にしろウェブの研究会にしろ、油断していると自分が話すことにばかり注力してしまい、人の話を聞かなくなる。自分の欲望と本能にまかせていると間違いなくそうなる。昨日の日記になにげなく、「話し上手は聞き上手」とか書いた瞬間に、「やいばのよろい」で半分くらい攻撃がはねかえってきて私はダメージをうけた、聞かなければだめだ、聞こう! そうやって一念発起して今日はだいぶいろいろ聞いている。
聞く機会は努力して作らないとだめだ。ほかの人は知らないが、少なくとも私は、「自動的にしゃべれるけれど、自動的には聞けない」タイプである。自律神経が勝手にしゃべってくれる一方で、聞く方は能動的に耳のフタをパカッと開けないといけない。これは本当に要注意ポイントだ。みんなもそうなんじゃないかな。たぶんそうだと思うよ。私は解剖学に詳しいから知っているけれど、じつは耳には、自分で開けなければいけないフタがついているんだ。
自分から「聞く機会」を作ることが本当に大事だなと感じる毎日。黙って待っていても何も飛び込んでこない。今のクソみたいなSNSしか情報源に使っていないと私は確実にインプット過小で飢餓状態になるだろう。より正確には、ジャンクフードで腹がいっぱいになってしまって栄養が足りなくなるだろう。カレーメシばんざーいッ! 食ったことないけど。そういえば先日東京で飯を食ったら、おかずは全部うまかったが米はどこで食ってもぜんぶ微妙だった。コンビニのおにぎりの味まで違うとは思わなかった。東京の米、だいぶやばくなってないか? だからカレーが流行るんだなって思ってしまった。東京だけだよ。どこで外食しても米が微妙だなんて。丸亀うどんは東京のためにもっとがんばってほしい。まあたまたま私がしょうもない店にしか入ってないのかもしれないけど。それはありえることだけど。カレーメシばんざーいッ! 食うつもりはないけど東京がいつまでもああなんだったらいつか食うかもしれない。
飯の話をしたいんじゃない、聞く話をしたいんだ。人の話を聞くときに最近大事にしているのは、その人の横隔膜を意識するということである。冗談ではなくてマジでだ。ただし例え話ではある。実際には、この人がこの話をするにあたり、どこを能動的に動かそうとしているのか、ということをきちんと見極めようということだ。自律神経が自発的に、無意識に、ふにょいにしゃべってしまっている話を聞いてもろくなことはないのである。そういう「反射的に出てくることば」は、軽くて扱いやすいがそれだけだ。手癖でしゃべってるだけ、みたいな話をいくら聞いてもだめなのだ。勉強しようと思ったら、人がしゃべっているときに、「ここは自分で意識して声を出そうとしているな、この言葉は本人が意図を伝えるうえで能動的に選んだものだな」というポイントを、こちらからがっと掴みにいかないといけない。10分なら10分、90分なら90分の発表内に、そういう「横隔膜を意図的に動かしてんなー」と思うポイントが1個でもあれば、その発表を聞いた甲斐がある。中には何分聞いても自動音声だなと感じることもあってそういうときは寝てしまう。わりと敏感に察して寝てしまう。
空間トランスクリプトーム解析ってあれ別に人間がやらなくてもよくない? こんな失礼なことを言ってはだめなのだろうな。でもさあ。AIのほうがいいじゃん。空間トランスクリプトーム解析が病理医の形態学を存分に用いた研究だなんて俺ぜんぜん思えないよ。だって空間トランスクリプトーム解析の論文を読んでもみんなそこまでちゃんと形態診断できてないじゃん。こんな失礼なことを言ってはだめなのだろうな。でもさあ。あっすみません、ひとりごとは控えます。ブログ書きながら言うことかよ。