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根が軽薄なのでいろんな学会にちょろちょろ顔を出している。大腸、胃、肝臓、膵臓、胆道。消化器がん、血液がん、炎症性腸疾患。CT、MRI、内視鏡、超音波。そして病理。きりがなくなってきた。八方美人の拾い食いという腹痛必至の若気の至りである。勉強だけしている間はまだよかったが、今後、歳を経るにつれて、年齢相応の職務を期待されるようになると、ふつうに破綻するだろう。
学会での勉強なんてものは私にとっては楽しいばかりで、まるで推し活のような勢いで長年好きなものを追いかけて課金してきたのだけれど、推しというキーワードだけでポジティブにやっていけるのもせいぜい20年といったところだ。はしゃいでいられるのは私が若く未熟だったからだ。少しずつ、連絡の要になるとか、出たい人のための場を用意するとか、そういった、裏方的な、地に足がつき手がこまめに動くタイプの人間としてやっていかなければいけない。それは恩返しと呼ぶこともできよう。推しだけで楽しんでいられた時代は終わったのだ。さみしいことだし、まだ私は心の中でどこか、「それでも気持ちだけでも推し活は続けていくんだ」みたいな、甘っちょろいことを考えている。またひとつ、ある研究会から世話人就任の案内が届いた。光栄です、と返事してひとつためいきをつく。