たぶんだけど

12|19

病理診断というのは、勘とセンスと経験をきちんと積み重ねれば、わりと誰にでもできる仕事だ。そのへんを歩いている医療の知識がまったくない中学生を捕まえても、たぶんだけど、いちから仕込めば5年くらいでそこそこいい病理診断ができると思う。そして、その結果をほかの医療従事者に共有するにあたっては、国語力が求められるが、これもべつに医学部を出ている必要はなくて、たぶんだけど、作文とか感想文を丁寧に書ける人ならばそれで十分対応できるはずだ。

では、この病理診断をほかでもない「医者」がやる意義というのは、どれくらいあるか。

たぶんだけど、病理医は、患者が不幸にも病気に衝突した際に、跳ね返ってきた患者の体をやさしく支える医療従事者……「が、よろけたときによっかかる壁」として存在していなければならない。

その「壁」が、勘とセンスと経験と理屈を積み重ねただけの中学生であっていいのか、AIであっていいのかと考えると、たぶんだけど、医者であったほうがよいのではないかと思う。そこでは、勘やセンスや経験とはまた違った場所に立っている、理論、落ち着き、自負が、間違いなく必要とされる。

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