病理税関理論

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病理診断には税関のチェックみたいなところがある。

海外渡航のことを思い浮かべてほしい。仕事で海外を訪れる人、レジャーで訪れる人、いずれも、税関そのものに用はない。通り抜けた先に目的がある。はやく通してほしい。ここで時間を使いたくない。急ぐ理由があったとしても、すべての移動者たちは、税関で止められる。例外はめったにない。念のため。万が一。安全のため。安心のため。税関での作業は早ければ早いほどいい。税関における理屈は、移動者たちにとってはどうでもいいことだ。早く済ませてくれ。早くはんこを捺してくれ。早くICカードを読み込んでくれ。

病理診断というのは、そういう立場である。

ここで診断を付けないと、診療が先に進まない。でも、その診断の多くは、たいていの場合、確認に過ぎない。

入国後にどういう道筋をたどって目的の場所に行き、何をするか、すでに綿密に計画が立てられている。病理診断はあくまで念のための確認なのだ。

たいていの病院では、病理診断のturn around time (TAT)はかなり短めに設定されている。ここでミスすると取り返しがつかないという、かなり重要な診断であるにもかかわらず。私たちはこの過程を、最速で/一切のミスなく、さっさと済ませてあげないといけない。

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