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診療、というか医療現場で働くとき、なにか一つのことをやってから次の作業に移るまでの間をいかに短縮するかというのがとても大事で、それは一つ一つの動作をキビキビ早くするのとは「違う」。動作をちょこまか素早くしても全体の進捗がぜんぜん出てこないことはかなりよくある。そうではなくて、ある一つの動作をしている最中、あるいはその動作よりも前から、「一つ先、二つ先の動きのために体や脳をどのような角度に据え置いておくか」みたいなことなのだ。料理人の用いる刃物の向き、あるいは加熱を想定した食材の下ごしらえ、みたいなことを、仕事の場においてもやれる人の所作は無駄がないし、鬼滅の刃でいうとヒノカミ神楽のようにタスクが次々とつながっていく、それが全体の進捗をすばやくする。
で、新しい職場にいて、前の職場に最適化された私の体はぜんぜん動いてくれなくて、一日中ごりごり働いているわりに、アウトプットできている診療の量がぜんぜん上がっていかない。専攻医にもかなわない。がんばって慣れていく。なにもかもうまくいかない最初の一週間である。