まちがいの指摘

22|17

他人の診断の下書きをチェック。何例もの診断のひとつに潜んだうっかりミスに気づく。該当症例のプレパラートを逆さまにして、本人に直接指摘する。だいたいこんな感じで。

「今日は……もう、ほぼ、全部同意見です。ありがとうございました。ほとんど問題ないのですが、一点だけ。こちらの検体の。ここに病変があること自体は私も大賛成で。なので大勢に影響はないのですけれども。ここですね。ここにも病気があります。まあ、だから何が変わるというわけではないのですが。」

あるいはこう。

「Mapping、拝見しました。まったく異存ありません。ただ非常に細かい話で、間違いというよりは個人差のレベルなのですけれども、たとえばここにも癌があるので、病変のサイズが微妙に変わる、かもしれません。ほとんど変わらないかもしれないのであまり気にしなくてもよいのですが、せっかくチェックさせていただいていることですし、あくまで、ご参考まで。」

毎回、汗をかく。病理医が成長するにあたって私のこういう指摘が役に立っていればいいのだが、自信はあまりない。

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